高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

 この単元は、憲法の第14、24、26条の平等権を理解する単元です。
 ポイントは、裁判所が出した基準、判例ともに理解することです。尊属殺重罰規定、婚外子相続格差規定、国籍婚姻条件規定、男女別定年規定などの訴訟は必須です。
 判例も丸暗記しようと思うとつらいし時間もかかります。裁判所の出した結論とその理由をシンプルにまずは理解しましょう。「婚外子相続格差は違憲、なぜなら子にとって自ら選択できない事柄を理由とした不利益だから」のように。そうすると、裁判官の判断に対して、共感や疑問が出てきます。判例は同じようなケースの事件があれば事実上同じような判決を出していくので、今の社会をつくっています。
 もう少し、深入りします。「平等」は考えはじめると難しい概念です。トイレや更衣室が男女別に分かれていることは差別ではなくて区別ですが、婚姻可能年齢が異なることや土俵に女性が上がれないことは差別でしょうか区別でしょうか。その境目は何なのでしょうか。そんな疑問も持ちながら、判例を相対化させる視点が持てると、新傾向の入試に対応できるだけでなく、考えることの面白さも味わえます。

「裁判所は尊属殺重罰規定そのものは違憲ではない、としている。赤の他人を殺すのと、尊属を殺すことは、罰の重さが違ってもいいとしたのは、なぜなのか述べなさい」

「両性の本質的平等とは、男女を全く等しくあつかうことか、自分の意見を主張しなさい」

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 披露宴にAさんは招かれたのに、Bさんは招かれなかった。Bさんの平等権は侵害されたのでしょうか。
 侵害されてはいません。
 基本的人権は、国家(政府)などの公権力からの侵害を防ぐためのものであって、披露宴におけるAさんとBさんの間のような、私人(しじん)間には適用されません。憲法第99条で憲法を擁護し尊重する義務を負っているのは、国民ではないのです。マグナ・カルタ以降から学んできたのは、公権力を制限する法制でした。
 今回の単元は、憲法に定める人権の位置づけを理解します。丸暗記は不要ですが、「永久の権利」とか「不断の努力」、「現在及び将来の国民に」など独特の言い回しがあります。意味は難しくなりませんが、今から見るとsustainable、「権利の上に眠るものは権利を失う」のような意味を含んでいることがわかります。声に出して、英単語の熟語のように学ぶことを勧めます。
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