今回は社会主義を理解します。
 19世紀、A・スミス流の自由競争は弊害が顕在化します。J・S・ミルやプラグマティスト、進化論の考え方もそれらの弊害に対応しようとしていましたが、市場経済そのものの問題点を明らかにしたのがマルクスです。
 ポイントは、マルクスが労働や社会の構造をどう考えていたかです。下部構造、疎外、生産手段の社会的所有、史的唯物論など堅い言葉が出てきますが、市場経済や歴史を動かす力について説明しようとした用語です。それまでのA・スミスやリカードなどの経済学者は「見えざる手」によって調整される考えていたので、なぜ各人の努力差以上に格差が開くのか、恐慌はなぜ発生するのか述べていません。マルクスはそれらを明らかにしていきます。
 旧ソ連は崩壊し、中国も市場経済を導入していますので、社会主義の考え方は誤っていたようにも見えますが、現在の市場経済の国でも純粋に「見えざる手」に任せている訳ではなく、景気対策や社会権を重視します。大雑把に言えば、市場経済と計画経済は混ざり合っています。
 社会民主主義と呼ばれるフェビアン協会やベルンシュタインの修正主義も出題されますが、それらを理解する意味は、これからの国家の役割を考えるのにも役立ちます。

19社会主義
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