高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

2020年06月

 今回は国連を理解します。
 国連は、中学生が理解しているような「世界政府」ではありません。国内なら法に違反すれば逮捕されたり、有罪になるなど強制力が加えられますが、国際的にはその強制力はあるにはありますが、十分に機能していません。P5の拒否権が示すように、優位な国もまた存在します。
 ここでも国連の問題点を理解しながら、それでも「国連ができることは何か」を探る視点を持つと理解しやすいでしょう。
 総会の一般事項と重要事項、安保理の手続き事項と実質事項(その他の事項)は区別が必要です。
 総会は一般的なことを決めるのは単純な多数決ですが、安保理の非常任理事国の選挙や新加盟国の承認や除名などの「重要事項」は特別多数、3分の2が必要です。
 安保理はP5の5カ国と非常任理事国10カ国の計15カ国で成り立っていますが、「手続き事項」(その議題を安保理で審議するかどうか)は9/15以上で決定しますが、その他の事項(=「実質事項」。審議された議題の決定)は9/15以上の9の中に必ずP5が入っていないと決まらない規定になっています。つまりP5が1カ国でも反対すれば「実質事項」は決定できません。このP5の権限を「拒否権」というのです。
 ちょっとズルいというか、P5だけ特権を持っていて「主権」平等とは言えませんね。ただ、歴史的に見るとこのP5の特権がなければ国際連盟下で常任理事国だった日本やイタリアが脱退していったように、P5が脱退してしまう可能性があるのです。拒否権によって機能不全に陥ることもあるので、このしくみはベストとは言えませんが、国連につなぎ止めておくための特権と考えてください。



CSNo23表
CSNo23裏
CSNo24表


 今回は国際法を理解します。
 世界で何か問題が起きている時に、なぜ解決できないのか時に腹立たしく思うこともあるでしょう。
 その原因の一つが国際法の限界の問題があります。例えば国際慣習法である「内政不干渉の原則」。ある国の中でその政府が少数民族を弾圧していたとしても、国家の三要素、「主権」を持つのは国家ですから他国は手出しすることはできません。ただ、他国が手出しできない原則はマイナス面だけではなく、「居留民保護」や「人権を守るため」という名目で侵略が行われてきた歴史から学んでいる面もあるのです。
 限界もありますができることもある。それを知ることによって、観念的ではなく、現実的な解決法を探ることができるのです。
 この単元では国際司法裁判所(ICJ)や国際刑事裁判所(ICC)の違いあたりは基礎になります。むしろそれ以外の国際裁判所や20世紀初頭の戦時国際法まで出題されます。細かいですが、「それ以外の国際裁判所」は現在の国際法下でできることを探っている例として、「20世紀初頭の戦時国際法」=開戦について定めたハーグ法や、捕虜の取り扱いについて定めたジュネーブ法などは、今も生きている例として、見ていくと意味が見出せます。言い換えるとこれからの国際社会でどうやって問題を解決していくことができるのかのヒントとして出題されています。
 ICJやICCの限界は何でしょう。逆にできることは何でしょうか。

CSNo22表
CSNo22裏







 今回は政党を理解します。主として日本の政党史です。
 政党史を学ぶのは苦痛だという生徒が多いです。国民のためなのかわからないような離合集散があって、意味を見出しにくいと言います。そういう部分は確かにあります。
 いっそのこと、こう考えてみたらどうでしょうか。冷戦の影響でこういう政党が支持を集め、高度成長や公害の影響でこういう政党が生まれ、震災のあとはこういう政党がまた支持を集め…と、冷戦や高度成長、震災など、その時代の特徴を知るため、と。
 実際に大きな流れとして戦後の政党政治の転換点は3つあります。(1)55年体制の成立、(2)1993年の政権交代、(3)2009年の政権交代の3つです。それぞれ(1)は朝鮮戦争や安保条約成立など冷戦が本格化したこと、(2)は冷戦の崩壊、(3)は世界金融危機後の不況や「小さな政府」批判など、時代の影響を受けています。
 ただ、これからも政党は続き、議院内閣制の日本では内閣を形成する、国民の代表の集まりです。国民に与える影響が大きいことも忘れないで下さい。課題が山積する中で、これから国民はどのような政党を求めていくでしょうか、また国民感情とは別に、どのような政党が有効な政策を打ち出すことができるでしょうか。
センターサンプルNo21表
センターサンプルNo21裏

 今回は、選挙制度を理解します。
 過去の出題を見てみると、選挙の5大原則や小選挙区と大選挙区、比例代表制の長短、日本の衆参両院で用いる選挙制度、何が選挙違反にあたるのかが繰り返し出題されています。衆院と参院では用いられてる選挙制度が違います。それは選挙制度には長短があるからですが、衆院の小選挙区比例代表並立制と参院の選挙区選挙と比例代表制の違いを理解しましょう。そうすると「重複立候補」や「非拘束名簿」などわかりづらい用語はわかってきます。
 この単元は過去問をどんどん解いて、間違えて教科書や資料集で確かめる作業が多いと予想できます。ここも踏ん張りどころです。慣れていきましょう。
 このようなしくみを理解していくと、選挙結果は通常どの政党が勝ったのかに注目されがちですが、その背後にある制度の方が大事だということに気づきます。投票率×得票率で有権者の20%未満の支持しかなくても、議席の80%近くを占めることができる制度ですから。一方で、ではよりよい選挙制度とは何か、というのは簡単ではありませんが、そこで原点というか、各選挙制度の長短を比較する単元の最初に還っていく必要があるのです。
センターサンプルNo19表
センターサンプルNo19裏
センターサンプルNo20表
センターサンプルNo20裏



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