高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

2020年07月

 今回は経済的な豊かさを表す指標、GDPやNI(国民所得)を学びます。
 これらの指標が便利なのは、国際的に同じ計算式で導き出すので、比較しやすいのです。ある国が豊かなのか、そうではないのかが(あくまで経済的にですが)客観的にわかるんです。
 ただ、例えばフロー(GDPやNI)でいえば、何を足して引くのか、慣れるまで苦戦する場合もあります。どんどん問題を解いて下さい。
 基本ではありませんが、国民所得(NI)の三面等価を学びます。生産と分配と支出は下一桁の値まで同額となります。とするとGNP(国民総生産)とGND(国民総分配)とGNE(国民総支出)も同額ということになります。見慣れないGND、GNEという言葉が出てきても、GNPのことだと思って解いていきましょう。
 また、世界でGDPが3位の日本ですが、「豊かさが実感できない」と思う出来事も多く存在します。そういったこともあり、GDPやNIに代わる新しい指標も考案されています。国民純福祉(NNW)やグリーンGDP、国民総幸福(GNH)などです。これらは客観性に課題があるので十分に定着していませんので、計算問題は想定しにくいです。
 GDPが上がるということは経済活動が活発で、その国民の所得も上がっていることが予想されますから、各国ともGDPを上げることに躍起になります。一方で国内の格差や環境問題、途上国における貧困の原因が先進国のGDPの上昇に関係しているとすればNNWやGNHはそのアンチテーゼになるのです。「本当の豊かさとは何か」を考えながら問題を解いていきましょう。
 

CSNo39表
CSNo39裏




 今回は会社や企業を理解します。会社や企業という言葉はよく使われますが、違いは何でしょうか。
企業のうち、会社法に基づいて設立されたものを会社と言います。企業の方が大きなカテゴリーで、その一部が会社です。
 とりわけ企業のうち約40%を占める株式会社のしくみが出題頻度が高いです。またディスクロージャー、ステークホルダー、CSR、フィランソロピー、メセナ、アカウンタビリティ、などカタカナがたくさん出てきますが、これらの区別も必須です。英単語の勉強も兼ねていると思って頑張ろう。
 余談。歴史的に初めての株式会社は、オランダの東インド会社だったと思います。出資した富裕者や国王は株主、船の船長は取締役、船員達が社員だとして、航海の途中で計画にない一攫千金の出来事があって、船長がそれに飛びついたとしましょう。うまく儲かれば出資者は配当を求めるでしょうが、失敗すれば船長に責任をとらせるでしょう。それでは船長は面白くないので、儲かれば船員と利益を山分けして出資者には報告しないとか、出資者と対立する。そんな出来事、「会社は誰のものか」という問題が現在でも存在します。
CSNo38表
CSNo38裏

 今回は需要曲線、供給曲線を理解します。
 出題頻度の高い単元です。まず出題されると考えてください。丸暗記では解きにくい問題もあるので、グラフを見ただけで最初から問題を飛ばしてしまう人がいますが、損しています。共テは丸暗記ものは時間さえ費やせば誰でも解けるので、逆にココや次のGDP、リカードの比較生産費説の単元で差が出ます。自分にとってキツいと思う単元は、多くの人にとってキツい単元。この需要と供給は、とっつきにくいけど、コツをつかむとスラスラ解けるようになります。
 右上がり、右下がりが需給どちらの曲線か、傾きが急なのは生活必需品か贅沢品か、というような暗記で解ける出題は減っています。右シフトさせたり、政府が固定価格で買い上げたり、補助金を出すのはどんな線になるのかなど、簡単ではなくなってきました。でも、過去問をたくさん解いているうちにコツがつかめてきます。間違いやすいのが「需要と供給、どちらの曲線を動かすのか」です。最初は時間がかかっても、納得するまで考えてみることを勧めます。
CSNo36表
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CSNo37表
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 今回は、経済学の考え方を理解します。
 生産に必要な資源は無限に存在する訳ではなく、希少性を持ちます。その限られたな資源の中から私たちの欲求を満たすために、人は「何を実現し、何をあきらめるか」選択しています。その選択の基準になるのが機会費用です。
 また、A・スミス、ケインズ、マルクス、フリードマンの4人の考え方を理解します。重商主義の非効率さからスミスの「見えざる手」の考え方が注目される。社会問題が顕在化してマルクスの社会主義が注目され、ロシア革命になる。世界恐慌を経て革命に惹かれないようにケインズの修正資本主義が注目される。スタグフレーションや財政不足によって新自由主義が注目される。
 その4人の考え方と実際の歴史が結びつくことが理想的です。
 ちょっと横道へ。A・スミスは規制をなくして「見えざる手」に任せた方がうまくいく、と考えたと伝えられますが、『国富論』の10年ほど前に『道徳感情論』を著していて、そこでは市場にいる人々を競争相手としてではなくて、他者の苦しみや喜びを共有できる、共感sympathyを持つことができる人々だと考えています。だからこそ他人のつくったものを信頼できる「分業」も勧めているんです。とすると、もし現在の市場が共感を持つことがない人々によって行われているとすれば、スミスは「見えざる手」に任せたでしょうか。大学生になってもスミスの著作を読んだりすることがあるのは、現在に生かせるからなんです。
CSNo35表
CSNo35裏

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