高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

カテゴリ:政治経済ドリルの解答 > 国際政治ドリル

 今回の単元は、日本の外交を理解します。
 「政経は歴史と違って流れがつかみにくい」と言われますが、日本の外交を少し引いて見てみると、
 ・国際的な緊張が高まる時期には西側との結びつきを強め、
 ・緊張が緩和される時期には非西側と結びついています。
 例えば、中国の成立や朝鮮戦争と同時期にサンフランシスコ講和条約や旧日米安保条約が結ばれています。スターリン批判と同時期に日ソ共同宣言がなされ、米中接近の時期に日中共同声明がなされています。
 羅列的になりがちな、サンフランシスコ講和条約、新旧安保条約、日ソ共同宣言、日韓基本条約、日中共同声明、日中平和友好条約などですが、歴史の流れと結びつけて、しかも文面を見たらそれぞれを区別できるようにしましょう。それは日本の外交が「今後どうあるべきか」を探る材料でもあります。
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 この単元は、世界の主な民族紛争を理解します。
 冷戦の終結後、世界から紛争がなくなったのかというとそうではありませんでした。冷戦で押さえつけられていたフタがとれたように、民族運動が多発します。
 この単元は「全部覚えないとダメですか?」とよく聞かれます。旧ユーゴスラヴィア、チェチェン紛争、印パ、同時多発テロ、ルワンダ内戦などなどたくさんあってどうしても羅列的になります。一つ一つに興味が持てるとは限らないことも原因でしょう。

 パレスチナでは、今日も子どもたちが撃たれて亡くなっています。紛争の原因や影響を知ることは、「どうしたらいいのか」を考えるのに必要です。
 また、民族問題はナショナリズムが関係します。ナショナリズムは国家主義と訳すのが一般的ですが、プラスマイナスの両面を持っています。ヘイトスピーチや排外主義、少数民族に対する抑圧につながる面と、アメリカ独立戦争やインドの独立、ベトナム戦争の際には原動力になった面もあります。ついでにいえば、紛争をしばらく経験していない私たちの中にもナショナリズムはあります。簡単に善悪をつけられないところが難しく、だからこそ国公立2次や私大の論述でも問われます。
 地理や世界史の人は今はキツくても一石二鳥、いずれ重なって両方の科目からの出題が解けるようになります。異文化理解という点で倫理や倫政の人は、コチラ(CS倫理 No63 異文化理解 : 高校 政経・倫政の補習講座 (myjournal.jp))も参照して下さい。

「移民は無条件に受け入れることも、無条件に拒否することも難しい可能性がある。どのような取り組みが求められるのか、あなたの考えを述べなさい。」
「民族紛争は宗教的な対立が原因となっているように見える。ある国の民族紛争の具体例をあげながら、平和的な共存に向けてあなたのアイデアを述べなさい。」
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 今回の単元では、核を規制する国際的な取りきめと、米ソ二国間の取りきめを区別して理解します。
 
 核を規制する国際的な取り決めは、まず3つの条約を知ることから始めましょう。
  (1)部分的核実験禁止条約(PTBT)
  (2)核拡散防止条約(NPT)
  (3)包括的核実験禁止条約(CTBT)
 
 (1)のPTBTは、日本のマグロ漁船が核実験で被爆した第五福竜丸事件を受けて、地下以外の核実験を禁じる内容です。核戦争の危険が迫った1962年のキューバ危機の翌年と考えれば時期の理解がスムーズです。
 (2)のNPTは、核保有が許された5カ国以外が核兵器を保有することを禁じる内容です。5カ国以外へ核兵器が拡がっていくを防いでいて、疑いがあればIAEA(国際原子力機関)が査察を行います。一方で保有が許された5カ国(偶然にも国連安保理の常任理事国の5カ国です)が核兵器を減らすことを防ぐことができませんので、不平等の面があります。そもそも国際法は一般に、批准していない国、加盟していない国を拘束することができませんでしたが、NPTも同様で未加盟のインドやパキスタン、イスラエルそして脱退した北朝鮮などを拘束することができない問題があります。
 (3)のCTBTは、地下を含む爆発をともなう核実験を禁じる内容です。ただ、この条約が発効するためには原子炉がある44カ国すべての国の批准が条件になっていて、アメリカや中国が批准していませんので、発効することができていません。

 わかりづらいのが米ソ二国間の取りきめで、SALT、STARTなどがSALTⅠ、SALTⅡ、STARTⅠ、STARTⅡ、新STARTなど複数あり、また批准拒否や未発効のものがあり区別が難しい点です。これらも「理解してから問題」より「問題を解いて理解」の方が早道です。 

「核兵器に関して、今後の国際社会はどのような取り組みが求められるだろうか、従来の取り組みを考慮しながらあなたの意見を述べなさい。」
「東アジア情勢の変化にともなって、自衛のための必要最小限の実力として、日本も核兵器を保有すべきだという主張がある。この主張に対してあなたの意見を述べなさい」

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 今回は冷戦の終結を理解します。
 大ざっぱにアウトラインを示します。
 東西のボスが疲弊してきました。アメリカはベトナム戦争や貿易上の赤字で相対的な地位が低下してきました。ソ連は社会主義ならではの問題「頑張っても頑張らなくても、分配は平等」によって、生産意欲が乏しく、経済的に停滞しています。
 そのような時期、1985年にソ連の新しい指導者、ゴルバチョフが改革=ペレストロイカを始めます。ペレストロイカの中身は、アフガニスタンからの撤退、情報公開(グラスノスチ)、西側と協調する「新思考外交」などを指しますが、米ソ関係は急激に和解へ向かいます。
 80年代末からの展開はめまぐるしいものがあります。
  ・89年はベルリンの壁崩壊、天安門事件、マルタ会談、
  ・90年は東西ドイツ統一、
  ・91年はソ連解体や韓国と北朝鮮の国連加盟、
 特に1989年のマルタ会談は、言い方はよくありませんが、40年間近く激しく対立していたギャングのボス同士が握手するという出来事ですから、世界に衝撃を与えます。
 この時期、日本国内では「バブル経済」がおきていましたので、未来が開かれる感じがするような、華やかな時期だったわけです。
 余談ですが、この時期、保護者の方は何歳ですか?引き算してみましょう。だいたい20歳前後だと予想されます。この華やかな時代の出来事をインタビューしてみましょう。
 「ベルリンの壁が崩壊した時、どう思った?」
 「ソ連が解体した時、何してた?」
 20歳前後のチチ、ハハのことを想像する自体が嫌かもしれませんが、きっと青春真っ只中だったと思います。


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 今回は1950年代中頃~の冷戦の展開を理解します。
 冷戦の対立中、別の動きの萌芽がありました。一つはアジア・アフリカ諸国の独立で、非同盟主義や反植民地主義など大国を牽制する動きを見せます。
 もう一つ、東西両陣営はそれぞれの内部で対立するようになります。社会主義陣営ではソ連のトップがフルシチョフになり、フルシチョフは1956年にスターリンを批判します。「スターリンの粛正や独裁は誤りで、真の社会主義ではない」と至極まともな批判です。ところが社会主義国の多く、とりわけ中国はスターリン型の国づくりをしていましたので、中ソが対立するようになり、実際に軍事的にも衝突します。
 外交上の常識で「敵の敵は味方」という論理がありますが、アメリカにとって敵であるソ連、そのソ連と対立する中国は味方になり、アメリカのニクソン大統領は1972年訪中します。
 一方、西側の内部でも足並みが乱れてきました。焼け野原から復興したヨーロッパ諸国は、アメリカの言いなりではなく、独自外交をします。フランスがNATOの軍事部門から脱退したり、ソ連を訪問します。ドイツも東方外交と言って、東側諸国のとの関係改善を独自に進めます。EC(現在のEUの原型)ができていくのも、脱アメリカの動きでもあるのです。
 スターリン批判にともなう中ソ対立、それによる米中接近など「アメリカ陣営対ソ連陣営」という図式にとどまらない動きが出たことを「多極化」と言い、米ソの緊張は緩和します。これをデタントと呼びます。


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