高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

カテゴリ: センターサンプル政経

 今回は途上国との貿易を理解します。
 途上国の貧困を克服するための取り組みには様々なものがありますが、昨今はSDGsが注目されています。貧困の克服のためには貧困の原因をとらえる必要があります。その上でこの単元では、国際社会はこれまでどのような取り組みをしてきたのかをとらえることがポイントとなります。
 時期をおってざっと振り返ります。1960年代、植民地諸国が独立しますが、政治的に独立しても経済的に従属していてはおかしいので、「私たちの国から出る資源は、私たちのもの」という資源ナショナリズムの動きになります。そういえばOPECの設立は1960年でした。国連でも1962年に「天然資源に対する恒久主権」が決議され、1964年にUNCTAD(国連貿易開発会議)が開催され、UNDP(国連開発計画)が設立されます。さらに1968年の第2回UNCTADで「GATTの最恵国待遇の例外、特恵関税」や「先進国はGNPの0.7%をODAに供出すべき」が認められていきます。
 1970年代には第1次石油危機がありました。国連は資源特別総会で「途上国への優遇」を求めるNIEO(新国際経済秩序)樹立が宣言されます。途上国は歴史的に植民地化されてきた場合が多いので優遇には一理あるでしょうし、そういえば国連は1国1票の多数決、総会での議決は法的拘束力はありませんからそうした宣言は通りやすい面があります。ただ、これによって産油国とその他の途上国の間で格差、南南問題が生じていくことになります。1980年代には累積債務の問題が顕在化します。
 現在、例えばアフリカは豊富な地下資源と10億人の購買者がいるマーケットとして期待されています。日本はTICAD(アフリカ開発会議)を主導し、援助をしています。中国もアフリカ各国に援助をしています。問題を解きながらODAの実態を見ても、援助というのは「気の毒な人々がいるから」という理由からだけではなくて、援助する側の利益がからむことがよくわかります。国連や各国の援助とは別に、民間企業やNGO、市民の援助もあるでしょう。どのような援助が効果的なのか、援助とは本来どうあるべきかを考えながら学んでいけると、理解が深まります。
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 今回はEUやNAFTA、TTPのような地域経済統合を理解します。
 GATT(やWTO)は、多角のラウンド方式で自由貿易を進めようという国際的な取り決めでした。今回学ぶ地域経済統合はある意味ではそれと矛盾する動き、多角ではなくて「合意できる国家間で自由貿易を進めよう」という動きです。合意しない国には例えば高関税が適用されるので、地域経済統合はある意味ブロック経済とも言えます。各国は自国に有利なように、自国の輸出品は低関税で売れるように、また輸入品に対しては自国の産業が衰退しないように高関税が課したり、時間的な猶予が得られるような地域経済統合を結ぼうとします。
 イギリスがEUから離脱しました。自由貿易によって安い輸入品が労働者が入ってくることからの不満から、いくつかの国で反自由貿易、反グローバリズムの動きがあり、自国民優先を掲げる政権が誕生していることも昨今の動きの特徴です。経済は政治ともつながります。
 世界にはたくさんの地域経済統合がありますが、主な出題はEU、NAFTA、AFTA、MERCOSUR、APEC、TPP11あたりです。ECの原加盟でないイギリスが当初EFTA(ヨーロッパ自由貿易連合)に加盟していて、EFTAは今でもEUに未加盟国によって今も存在していることを知っていれば、EFTA加盟国=EU未加盟国ですから、便利です。

 さて、地域経済統合の中で最も進んでいるのがEUです。域内無関税や域外共通関税だけでなく、労働力や資本の移動が自由な共同市場、さらに共通通貨を使用し、共通の外交や安全保障も行っています。進んでいるEUですから、出題について言えば、EUは歴史的な経緯を含めて最も詳しく問われます。

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 今回は国際経済体制の変化を学びます。
 1929年の世界恐慌のあと、世界経済はブロック化していました。自国に有利にするために関税は上げ、為替は下げていました。この時、自国と植民地や友好国の間でブロックを組みますので、植民地が多い国は有利となります。とすれば植民地が少ない国は植民地の獲得や勢力圏の再編成に挑む、第二次大戦に結びついていきました。
 ここでは主に「貿易の自由化(関税の引き下げ)」や「為替の安定」を目指す組織や協定、合意を時期ごとに区別することがポイントとなります。
 大きな流れは3つ。一つ目はブレトンウッズ協定でIMFやIBRD、やがてGATTが設立されたこと、二つ目は1971年のニクソンショックを受けて1973年に変動相場制へ移行したこと、三つ目は1995年にGATTに代わりWTOが設立されたことです。
 その3つの流れの中に、一つ目ではIMFとIBRDの違いや、二つ目では変動相場制下でもスミソニアン協定やプラザ合意、ルーブル合意など細かな取り決めがあり、三つ目のGATTは最恵国待遇や内国民待遇、ラウンド方式などの原則が入ってきます。
 カタカナや略称英単語が多くなってきますので、大きな流れの中に位置づけないとゴチャゴチャしやすい単元です。高得点で抜けたい場合は、上のような流れの中に、SDR、GATT(やWTO)のラウンドではケネディラウンド、東京ラウンド、ウルグアイラウンド、ドーハラウンドでは何がルールとして加えられたのか、セーフガートや特恵関税、アンチダンピングなどの用語を含めて理解することが大事です。とっつきにくいですが、複雑ではありません。自分が苦しいところは他の受験生も苦しいところ、がんばれ。


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 今回は為替相場です。
 1973年から多くの国は変動相場制へ移行しました。例えば$1がいくらなのか変動するようになったのです。ではどういう原因で円高になるのか、またその円高になった影響は何なのか。今回のポイントはここです。
 円高の原因と影響を区別して考えないと間違えます。例えば日本から輸出が好調なら日本製品への海外からの支払いが増えるので円高となりますが、円高になると輸出にとっては不利な影響が出ます。
 物価や金利など他の要素も含めた出題になりますので、「円に対する需要が増えれば円高になる」という原理を押さえながら、問題をたくさん解きましょう。

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 今回は貿易の自由化についてです。
 ブロック経済などの保護貿易が第2次大戦の原因になったという考え方のもと、戦後は自由貿易が志向されました。私たちの身の回りに輸入品があふれていたり、日本企業の生産拠点が海外にあるなど自由貿易は浸透しています。一方で貿易摩擦が発生している国家間では報復関税など輸入をブロックする政策も行われています。この原理や歴史を問題を解くことで学んでいきましょう。

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