人や物、情報が国境を越えて行き交うグローバリゼーションの時代にあって、異なる文化と接する機会が増えています。接する機会が増えれば、喜びを伴うような交流も増えるでしょうが、一方で摩擦も増えています。これも小論文のテーマになりそうですが、結論が「異文化との共生が必要だと思います」という結論だけなら中学生の作文。ある異文化が国内に入ってきた時、異文化をそのまま保っていいとすれば多元主義(文化相対主義)ですが、例えば教室で授業中に宗教を持ち込んでもいいでしょうか。同じようにある信徒が国内の土地を買って土葬を始めるのはどうでしょう?ある国Aが伝統を理由に女性の高等教育を禁じるのはどうでしょう?ダメだとすれば同化を求める普遍主義が含まれています。
 どちらが正しいかではなく、簡単に断言できない面があって、そういう断言できないことを知るチャンスを出題が教えてくれます。「レヴィ・ストロースの文化相対主義が正しい」という結論だけでは不十分です。
 裏面に「オリエンタリズム」を指摘したサイードの文章が出ていますが、このような問題文から異文化との接し方や、自分の中に潜む視点の偏りを考える材料になります。
倫CS63表
倫CS63裏