高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

タグ:アガペー

 今回はイエスの教えについて見ていきます。
 キリスト教は世界へ広がっています。広がるだけの何かを備えているといえますが、その原因の一つがイエスの言動にあります。彼がどんなことを言い、何を批判したのか。それらは『新約聖書』の中の福音書に記されています。『新約聖書』は福音書や手紙、歴史書などで27巻成り立っていて、福音書は「○○の福音書」という形で○○には弟子の名前が入ります。ちなみにユダヤ教は『新約聖書』を認めていません。福音書にイエスの言動が記されています。例えば「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」という隣人愛。他にも「敵を愛し、迫害する者のために祈れ」、「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるものではない」、「心の貧しき者は幸いである」、「金持ちが天国に行くのは、ラクダが針の穴を通るより難しい」など魅力的であることは間違いありません。
 ちょっとだけ、「ヨハネによる福音書」のエピソードに触れておきます。ユダヤ教の律法の一つ、「モーセの十戒」には「あなたは姦淫してはならない」と定められています。姦淫(かんいん)とは不倫のことですが、もしそれをすれば石打ちの刑、顔だけ出して穴に埋められて石を投げつけて殺されても構わないと考えられていました。ある日、姦淫をした女性がイエスの前に連れてこられます。連れてきたのはユダヤ教の律法学者やパリサイ人で、イエスが律法を守るのか、おとしめる口実をつくるために試したのです。するとイエスは「あなた方の中で罪のないものが、この女に石を投げるつけるがよい」と言います。やがて、人々は去って行きました。罪を犯したことのない者など、いませんでした。イエスは残された女に言います。「私もあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」。
 「マタイによる福音書」では、「情欲をいだいて女を見る者は、すでに心の中で姦淫したのである」と言ったことが記されています。
 律法を守らなければ罰せられる、と考えていた人たちにとって、イエスの教えはだいぶ異なります。このあたりが世界に広がっていく原因の一つでしょう。 
 出題では、細かい言動も問われますが、それは下のような過去問を通じて理解して下さい。むしろ後の単元で見る、イエスの後継者たちの方が難しい出題になっていきますから、イエスの言動は「へー、こういう人がいたんだ」と柔らかい気持ちで学んで下さい。実際に浮気していなくたって、そういう目で見たり、発想してれば浮気と一緒、どう思いますか?

倫CS07表

倫CS07裏
倫CS07②表


 今回の単元は、キリスト教を理解します。

 イエスが説いた隣人愛やアガペーを理解することは難しくありません。世界宗教として広がっていく、人々を引きつけた理由の原型がわかります。受験上のポイントは、イエスの死後の、パウロや5世紀頃のアウグスティヌス、13世紀のやトマス=アクィナスの考え方を理解することです。
 イエスの死後、教団や教会の発展してくるとどのような考え方が正統かをめぐって論争がおきます。例えば「イエスは神なのか人なのか」や「なぜ、人間は悪を欲してしまうのか」、「理性と信仰が矛盾しないのか」などです。
 アウグスティヌスやトマス=アクィナスはそれらに答え、カトリック教会を理論面から整えていきます。
 アウグスティヌスのキーワードは、恩寵、自由意志、神の国。
 トマス=アクィナスのキーワードは、スコラ哲学、「自然は神によって秩序づけられている」、です。ちなみにアウグスティヌスはプラトンの影響を受け、トマス=アクィナスはアリストテレスの影響を受けています。
 これらは、微妙なニュアンスが問われれますので、問題を解いた方が理解が早いでしょう。
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