高校 政経・倫政の補習講座

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タグ:アドミッションポリシー

(9)個人面接と集団面接

 面接は、大きく分けて個人面接と集団面接の2通りあります。比較してやりやすいのは個人面接、難しいのは集団面接やグループ討論の方です。
 個人面接から見ていきましょう。ここでもはじめに受験生の間違いやすい考え方、発想を指摘しておきます。
 それは、面接官はあなたに矢を射かけてくる敵ではないということです。
 質問という厳しい矢を放たれるので、盾で防御しようという発想は誤りです。そういう発想だとあなたの回答は硬く、面接官にとって興味を抱きにくい内容や印象になってしまいます。
 面接官の先生方は慣れているので、あなたが言い直ししたり、噛んだりは全然気にしない。けれど、総合型選抜とはあなたの方が自主的に受験しに来て、伝えたいことがあるのであって、面接官は評価する側であることは間違いありません。そうだとしても、敵ではありません。
 面接官側も「この受験生といずれ同じ研究室で一緒に時間を過ごすとすれば、どうかな」という視点を持っています。理想的には、面接の途中からは和やかなムードで、互いに自然な笑顔が出るような面接にしたいのです。「面接しているというよりは途中から会話しているみたいでした」という受験報告で落ちた生徒を知りません。
 が、なかなかそうはいかないでしょう。意図的に和やかな会話をつくりだすのは大人でも難しいことですし、笑顔が合格の鍵でもありません。ただ少なくとも、亀が甲羅の中に入って身を守るような姿勢ではなく、開かれた、会話をキャッチボールをするようなオープンな姿勢では臨んでほしいと思います。


 次は集団面接です。
 集団面接やグループディスカッションにおいて、まず気をつけたいのは、自分の言いたいことを一方的に主張し、言いっぱなしの表現をすることです。あなたの得意なテーマで討論することになり、正解に近いことを知っていたとしても、前の発言者が誤りに近いことを主張していたとしても、得意げに誤りを指摘し、一方的に「正解」を主張することは、プラスの評価になりません。集団なので他の受験生を蹴落とそうとして変に張りきってしまう発想は誤っています。

 逆にまったく発言しないというわけにもいきません。入試ですから。
 大学が集団面接という形態をわざわざ用いているのは、受験生が他者の発言をどのように聞いているのか「聞く態度」を見ているから、と考えたほうがいいでしょう。
 世の中に出て問題を解決する際には、多くの場合はチームプロジェクトや組織として解を出していくこともあり、大学もコミュニケーション能力を見ています。実際に多くの大学のアドミッションポリシーには「コミュニケーションリテラシー」が含まれます。

スライド32信大人文AP

 大学側の評価基準を見てみましょう。
 次の表は、2つの大学のグループディスカッションにおける評価基準です。評価基準のことをルーブリックといい、大学は面接室や面接官によって評価にズレがないように基準をつくっています。あくまでHPで見ることができる、一部の大学の例ですが、面接官が受験生の何を見ているのか参考になります。

スライド31ルーブリック

 「自分が優れた主張をすれば高得点」という評価ではないのがわかります。他者の意見を理解することが大切ですし、意見を述べている時には、視線を合わせたり、相づちを打ったりという動きも必要です。下を向いて黙ってただ聞いているのはよくありません。
 対応として、自分が発言する際に、次の例のような前置きを入れてみることを勧めます。
 「前におっしゃった方と似ていますが…」、
 「今までお二人の意見を聞いて思ったのですが…」
 「前の方は〇〇を念頭においてそう主張したのだと思いますが、✖✖に視点を移すと逆に…」、
 「今までの議論から、争点は〇〇ということになると思いますが、私も✖✖を懸念しますので…」
など、他者の発言を受けていることを示す前置きです。

 学校の「探究」や「課題研究」の授業で、班別にテーマを決める学校があると思います。個人別で探究するより難しいものです。テーマ、調査の方法、まとめ方、発表の仕方などなど、「何を、どのように、どうするか」問いをメンバーと話して決めていかなくてはなりませんから。自分だけの方が好きなことを早く進められる気がします。しかし、そのメンバーで「問い」を話して決めていく「遅さ」が「探究」や「課題研究」で付ける力なのです。繰り返しますが、実社会で問題の多くは、「問いを立てる力」に関連しています。例えば、

    ・この発電施設は、あらゆる災害に耐えるのか、欠陥があり得るとすれば何なのか。

    ・なぜ、自信を持って販売したこの商品は売れないのか、どうすれば売れるのか。

    ・ ある近隣の国Nと接していくのに望ましい外交とは何か、何をどうすべきなのか。

 これらの問いを立てた上で法的、経済的、社会的等の制度や条件を知り、チームや合議で解決、クリアしていく必要があります。実社会で「問いを立てる力」が求められているのがわかります。正解ではなくて、納得解。
 「探究」や「課題研究」は、これから求められる力の養成の場であり、面接の練習でもあるのです。


 次に集団面接が難しいのは、マイペースでいられないことです。自分の前に発言した人が、自分と同じ主張をしてしまった場合、逆に前の人が自分と反対の主張をして、反論を含めて主張しなくてはならない場合など、パッとすぐに応えるのは難しいものです。英語のディベートに慣れているような人は有利かもしれませんが、多くの受験生にとって簡単ではないでしょう。
 難関の国立O女子大学のAO入試に合格した先輩がいました。倍率はだいたい13倍。その大学は集団面接の他に、360分間でのレポート作成、20分の個人面接も課されます。その入試の集団面接20分間のうち、彼女が発言できたのは3回程度、「他の受験生のアピールがすごくて、気後れした」と振り返っています。大学側が受験生の何を見ていたのかは明らかにされませんが、集団面接において彼女は周囲の主張を落ち着いて理解した上で、的を射た自分の考えを、少ない回数ながら述べたことが予想されます。そういえば彼女は授業中もよくうなずいたり、わからないところは首をかしげたりしていました。強くアピールすることだけが合格に近づくわけではないことがわかります。
 集団面接は対策が難しいでしょう。大学や学部、学科が違えば問われるテーマや出題傾向が異なるので、自分の高校で面接の練習をするために人を集めるのが簡単ではありませんから。自分一人の力では無理、先生に頼っても同じ出題傾向でかつ「自分の面接内容を知られてもいい」と同意してくれる他の生徒を集めるのは、簡単ではありません。多くの受験生は、個人面接的な練習はできても、集団面接についてはぶっつけ本番になると覚悟して臨んだ方がいいでしょう。ですから、なおさら「探求」やLHR、通常の授業で周囲と討論するような場面があったらそれを生かしたいのです。誰かが意見をのべている時の聞く姿勢、周囲の意見を受けて自分がどう表現できるか、集団面接の練習だと思って取り組んで欲しいと思います。繰り返しになりますが、それは入試のためでもありますが、その後も求められている力です。
 こうして見てくると、普段の授業は大切、チャンスにあふれています。


(1)相手を知ろう

 大学はどんな生徒を欲しがっているのでしょうか。求められている生徒はどんな共通点を持っているでしょうか。
 対戦型のスポーツでは、相手に応じて戦うことが不可欠です。
 「相手ピッチャーは、球は速いがノーコンだから、甘い球に絞っていこう」とか、
 「相手はセンターがいいプレーヤーだから、センターに対してはマンツーマンでいこう」とか、
 「前衛の動きが多いから、早めにストレートに打っていこう」とか、
戦略を立てることで、不利な状況でも勝つことができる試合があります。

 相手の思惑を知ることができれば、有利に持っていくことができます。総合型選抜や学校推薦型選別では、相手の大学が何を求めているのか、どんな生徒を欲しがっているのかを知る必要があります。
 どんな生徒を欲しがっているのかは、各校がHPでも発表している「アドミッション・ポリシー」(=選抜の方針)や「募集の観点」に示されています。また、それらの考え方に基づいて各大学は評価基準を作成しています。
 どういう生徒が欲しいのでしょうか。少し堅苦しい文章ですが、アドミッション・ポリシーの代表例を見てみましょう。

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 上の資料は、東京大学のHPに掲載されているアドミッション・ポリシーです。各大学はそれぞれアドミッション・ポリシーを持つので、自分の志望校のそれは一度は見ておく必要があります。東京大学のアドミッション・ポリシーは他大学へも影響を与えており、多くの大学が趣旨としては同じ方向を向いている面があります。

 文中に思い切った表現が見られます。「そうした意味で,入学試験の得点だけを意識した,視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも」とあります。受験勉強だけできる奴じゃなくて、これまでとは今までと違った学生が欲しい、というのです。ではどういう学生が欲しいのか、続けています。「学校の授業の内外で,自らの興味・関心を生かして幅広く学び,その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野,あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人」。

 つまり、新しい入試制度で求められているのは、好きな教科だけでなく幅広く学び、その上で、
 「このことについては、どうしても大学で深めたいんです。」とか
 「このことを研究していくためには、御校しかないんです」とか
 「このことが好きで、ずっと取り組んできたんですが、貴学で続けたいと思っています」

という強い思いやそのための計画を持っている人ということになります。こういう受験生がいればチャンス、あなたは新しい入試で求められている生徒ということになるでしょう。

 よって、よく受験生が表現する「真面目に見せよう」、「肩書きを見せよう」とペラペラしゃべる受験生は、誤解していることになります。
 面接は口先だけで意欲、やる気をアピールすることが可能です。適当に「口からでまかせ」もできます。大学の側はそれを防ぎたいので「大学に入学したら何をどうやって学んでいきたいのか」入学してからの計画書を提出させるところが増えてきました。「学びの設計書」のような大学入学後の計画やプランを示す書類を提出させるのは、口からでまかせ対策で、受験生が書いた内容を見れば、本気なのか、コピペやよくある浅い表現なのかがわかるからです。

 入学してからの計画や設計を示させることによって、大学側は「意欲」と、志望動機の一部になる「大学の特徴をつかんでいるか」の二つを見ることができるのです。
 「あなたが学びたいとおっしゃっているそれなら、なぜうちの大学なんですか?」
 「あなたの学びたいそれは、うちの大学ではなくて、○○大学の××先生の方が秀でていませんか?」
 「施設や・設備なら、お隣の××大学の方が充実していませんか?」
と直接は聞かれないでしょうが、「どうしても貴学で学ぶ必要があるんです」という回答をしていないとすれば、高い評価、高得点はあげていません。その大学の特徴をつかんでいるのかが大切になります。
 下の例は、ある面接対策のオンライン塾のHPの一部です。この例は、目指したいゴールをよく示しています。いまあなたが考えている入学後のプランと比較してみて下さい。

スライド16よい例
 今、あなたが表現しようとしている入学後の計画と比べると、とても細かく、かなわないと感じるかもしれません。
 しかし、順序立てて考えていくとそれほど複雑ではありません。これから整理していきましょう。

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