高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

タグ:ニューディール政策

 今回は、経済学の考え方を理解します。
 生産に必要な資源は無限に存在する訳ではなく、希少性を持ちます。その限られたな資源の中から私たちの欲求を満たすために、人は「何を実現し、何をあきらめるか」選択しています。その選択の基準になるのが機会費用です。
 また、A・スミス、ケインズ、マルクス、フリードマンの4人の考え方を理解します。重商主義の非効率さからスミスの「見えざる手」の考え方が注目される。社会問題が顕在化してマルクスの社会主義が注目され、ロシア革命になる。世界恐慌を経て革命に惹かれないようにケインズの修正資本主義が注目される。スタグフレーションや財政不足によって新自由主義が注目される。
 その4人の考え方と実際の歴史が結びつくことが理想的です。
 ちょっと横道へ。A・スミスは規制をなくして「見えざる手」に任せた方がうまくいく、と考えたと伝えられますが、『国富論』の10年ほど前に『道徳感情論』を著していて、そこでは市場にいる人々を競争相手としてではなくて、他者の苦しみや喜びを共有できる、共感sympathyを持つことができる人々だと考えています。だからこそ他人のつくったものを信頼できる「分業」も勧めているんです。とすると、もし現在の市場が共感を持つことがない人々によって行われているとすれば、スミスは「見えざる手」に任せたでしょうか。大学生になってもスミスの著作を読んだりすることがあるのは、現在に生かせるからなんです。
CSNo35表
CSNo35裏

 この単元では、経済理論の推移を理解します。
 経済=エコノミーの語源は、古代ギリシャの「家」を意味する oikos と「法則・秩序」を意味する nomos を合わせたオイコノミアです。簡単に言えば家計をうまくやっていく、という意味になりますので、家庭科でも扱われています。経済という営み自体は、物々交換をしていた旧石器時代から存在しますが、受験で取り上げられるのは近代、18世紀のアダム・スミスからと考えられます。
 大きな流れを理解しましょう。アダム・スミス流の自由放任による社会問題が顕在化する中で、マルクスによる批判、ケインズによる批判、マルクス、ケインズに対する批判としてのアダム・スミスの見直し(新自由主義)の理論が生まれていきます。
 どのような経済理論が「正しいのか」は簡単には言えないというか、何を重視するかや立場によりますが、今後、どの理論の割合を増やしていくべきかは、ある国の家計(財政)をうまくやっていけるかどうかに関わります。
 ある国が国家としてどのような経済理論を採用すべきか移り変わっていきます。まずは大きな流れを把握しましょう。

経済史

 冷戦で対立していたアメリカ陣営は資本主義や修正資本主義、ソ連陣営は社会主義を採用しています。経済理論と国際政治と関係づけられると理想的です。

「新自由主義的なマネタリズムは小さな政府を指向する。新自由主義のもたらした功罪を述べなさい。」
「社会主義国の政治体制は、指導部の権力が強大に見える。なぜなのか、理由を説明しなさい」

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