環境倫理学は、比較的新しい学問分野です。環境を守るのは自然のためなのか、人間のためなのか。ボールディング、レオポルド、ハーディン、ハンス・ヨナス、シンガーらのそれぞれ現在にも影響を与える考え方を提案していますが、その区別が必要です。
 2次や小論文向けに難しい話をします。シンガーは苦痛を感じる能力のある動物を殺すのはよくない、と功利主義の立場から批判します。快楽を善、苦痛を悪とするのが功利主義だからです。イルカやクジラを食べることもその論理でよくない。同じ論理で苦痛を感じることができない人間(ある時期までの胎児や無脳児など)は人格とは言えないのだから、(他者への臓器提供などに)利用されてよいという結論にもなるのです。こうして環境倫理は生命倫理と地続きです。
 人間は苦痛を感じるから配慮が必要なのか「人間性の由来」、「人間性とは何か」を問うのです。
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