高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

タグ:国富

 今回は経済的な豊かさを表す指標、GDPやNI(国民所得)を学びます。
 これらの指標が便利なのは、国際的に同じ計算式で導き出すので、比較しやすいのです。ある国が豊かなのか、そうではないのかが(あくまで経済的にですが)客観的にわかるんです。
 ただ、例えばフロー(GDPやNI)でいえば、何を足して引くのか、慣れるまで苦戦する場合もあります。どんどん問題を解いて下さい。
 基本ではありませんが、国民所得(NI)の三面等価を学びます。生産と分配と支出は下一桁の値まで同額となります。とするとGNP(国民総生産)とGND(国民総分配)とGNE(国民総支出)も同額ということになります。見慣れないGND、GNEという言葉が出てきても、GNPのことだと思って解いていきましょう。
 また、世界でGDPが3位の日本ですが、「豊かさが実感できない」と思う出来事も多く存在します。そういったこともあり、GDPやNIに代わる新しい指標も考案されています。国民純福祉(NNW)やグリーンGDP、国民総幸福(GNH)などです。これらは客観性に課題があるので十分に定着していませんので、計算問題は想定しにくいです。
 GDPが上がるということは経済活動が活発で、その国民の所得も上がっていることが予想されますから、各国ともGDPを上げることに躍起になります。一方で国内の格差や環境問題、途上国における貧困の原因が先進国のGDPの上昇に関係しているとすればNNWやGNHはそのアンチテーゼになるのです。「本当の豊かさとは何か」を考えながら問題を解いていきましょう。
 

CSNo39表
CSNo39裏




 今回の単元は、経済の状況を把握するための指標を理解します。
 いずれも国際的に同じ基準で計算されますので、他国と経済の状況を比較するのに便利な指標です。
この指標は大きく2つに分けることができます。
 (1)ストック(代表例は国富)
 (2)フロー(代表例はGDPや国民所得)

 ストックとフローの違いは、ストックは過去からの蓄積、フローは一定期間内で生み出された量です。例えば家計で言えば、年収はフローにあたり、それが蓄積された預貯金がストックにあたります。いくら年収(フロー)が多くても、支出が多くて使ってしまえば、預貯金(ストック)は増えません。同じように国家ではGDPが高くても、国富が多いとは限りません。
 出題の例を見ましょう。次のうちストックはどれでしょうか。
  ①ある年における住宅建設の着工戸数
  ②ある年における自動車保有台数
  ③ある年における海外旅行者数
  ④ある年における米の消費量
 ストックとは過去からの蓄積でした。①~④のうちで蓄積を示しているものを探せばいいのです。答えは②。これだけが過去からの蓄積です。自動車生産台数や販売台数だったらフローになるでしょう。

 この単元は苦手意識を持つ人もいます。フローのGDPや国民所得に計算問題が含まれるからです。
 簡単なストックの方のポイントは、何が含まれ、何が含まれないか、です。とりわけ国富には、土地代は含まれますが、現金や預金や有価証券は含まれないことです。
 フローの方のポイントは、GNPから国民所得を計算していく時に、何を引いて、何を足すのか、です。とっつきにくいですが、でも単純な足し算と引き算です。出題は簡単な年も難しい年もありますが、難しい過去問に触れて慣れていきましょう。この単元も、受給曲線と同じように平均点付近にとどまるか、高得点を得るのか差がつきやすい単元です。
 たくさん問題を解きたい人は、下の問題に加えてCS(センターサンプル)の過去問を解きましょう(CS政経 No39 フローとストック  : 高校 政経・倫政の補習講座 (myjournal.jp))。

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