高校 政経・倫政の補習講座

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タグ:国際連盟

 今回は国連を理解します。
 国連は、中学生が理解しているような「世界政府」ではありません。国内なら法に違反すれば逮捕されたり、有罪になるなど強制力が加えられますが、国際的にはその強制力はあるにはありますが、十分に機能していません。P5の拒否権が示すように、優位な国もまた存在します。
 ここでも国連の問題点を理解しながら、それでも「国連ができることは何か」を探る視点を持つと理解しやすいでしょう。
 総会の一般事項と重要事項、安保理の手続き事項と実質事項(その他の事項)は区別が必要です。
 総会は一般的なことを決めるのは単純な多数決ですが、安保理の非常任理事国の選挙や新加盟国の承認や除名などの「重要事項」は特別多数、3分の2が必要です。
 安保理はP5の5カ国と非常任理事国10カ国の計15カ国で成り立っていますが、「手続き事項」(その議題を安保理で審議するかどうか)は9/15以上で決定しますが、その他の事項(=「実質事項」。審議された議題の決定)は9/15以上の9の中に必ずP5が入っていないと決まらない規定になっています。つまりP5が1カ国でも反対すれば「実質事項」は決定できません。このP5の権限を「拒否権」というのです。
 ちょっとズルいというか、P5だけ特権を持っていて「主権」平等とは言えませんね。ただ、歴史的に見るとこのP5の特権がなければ国際連盟下で常任理事国だった日本やイタリアが脱退していったように、P5が脱退してしまう可能性があるのです。拒否権によって機能不全に陥ることもあるので、このしくみはベストとは言えませんが、国連につなぎ止めておくための特権と考えてください。



CSNo23表
CSNo23裏
CSNo24表


 今回は国連と国際連盟の違い、国連の組織を理解します。
 国連の主要組織の役割や決定手続きを、その決定が法的拘束力を持つのかを区別しながら理解して下さい。

 それらを理解していくと、例えば国連総会での決定は(例外以外は)法的な拘束力がありませんから「国連って、役に立つの?」、「実際にできることは多くなくない?」と幻滅に似た感情を抱きます。そうした理解は、中学生の時まで持っていた「イメージとしての国連」から離れつつあることを示します。その上で、未来へ向けて国連の可能性を見いだしてほしいのです。大学もイメージを脱するための出題をしています。

「国連の安全保障理事会の表決手続きを説明しなさい」(中央大学)
「国連安保理において既存の常任理事国が持つ拒否権とは何かを、句読点を含めて20字以内で説明しなさい。」(学習院大学)

 経社理や総会で設立された機関にはアルファベットもたくさん出てきます。例えばUNESCO(国連教育科学文化機関)は、国連(UN)の教育(Education)、科学(Science)、文化(Culture)の機関(Organization)です。英単語の学習にもつながると考えて下さい。

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