今回の単元は、資本主義(市場経済)の限界、市場の失敗を理解します。
 市場経済は、資源の効率的配分を実現します。「見えざる手」(アダム・スミス)と表現されたように誰かがコントロールしているわけではなく、しかしすべての人々が参加した(興味が全くない商品でも興味がないという形で参加しています)うえでの配分ですので、投票に行かなくても全員が参加しているという、何とも言えない力を持っています。「世の中に必要とされているものは残り、不要と見なされたものは淘汰される」というわけです。
 しかし、万能ではなく、限界があります。これを「市場の失敗 market failure」と呼びます。教科書には「市場の失敗」が4~5種類載っていると思いますが、過去問を見ればわかりますが、すべて覚えましょう。また失敗と表現していますが、「外部経済」のようにプラスの影響がある場合もあります。
 「市場の失敗」の例として、公園は民間企業がつくろうと思えば、元を取るために入場料を取らなくてはなりません。これを「市場の失敗」の一つ、「公共財の供給」と言います。有料のテーマパークは確かに魅力的でしょうし、民間企業が行うことは洗練されてもいるでしょうが、有料の公園ばかりでいいでしょうか。このように「市場の失敗」の弊害をくい止めるために独禁法を定めたり、公共財を供給したりするわけです。「市場の失敗」を理解することは、これからの社会を構想する上でも役立ちます。


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