高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

タグ:市場の失敗

 政府や地方自治体が、一定の収入(歳入)を得て、支出(歳出)することを財政といいます。
 ここでのポイントは、歳出面では主に何に使われていて、どう推移してきたか。歳入面では租税や公債の種類を理解することです。
 財政は集め、使うことを通じて3つの機能を果たしています。この3つの機能の用語自体が出題されますので暗記が必要ですが、大切なのは内容です。 
  ①資源配分の調整、
  ②所得の再分配、
  ③景気の安定化、
 この「財政の3つの機能」を整理ながら把握しましょう。
 少しわかりづらいのが「③景気の安定化」のためのフィスカル・ポリシーとビルト・イン・スタビライザーの違いです。
 フィスカル・ポリシー(裁量的財政政策)の方は、景気を安定化させるために例えば不況だったら、減税したり、公共事業を増やすことを指します。減税して財布にあるお金を減らさずに買い物してもらって消費を促し、消費が促されれば生産が増え、景気が喚起されます。公共事業を増やせば、失業者が減ったり、公共事業をした人の財布にお金が入っていきます。好況ならインフレを防ぐために逆の増税、公共事業を減らします。このような意図的に行うのがフィスカル・ポリシーです。
 一方、ビルト・イン・スタビライザーの方は、累進課税制度や失業保険が内蔵、ビルト・インされていてまあ放っておいても景気対策をしている、という意味です。例えば不況の時は、年収が減るので累進課税制度によって納める税額が減ります。納める税が減れば、財布に残るお金の減りかたを抑えることができます。不況で失業者が増えたとしても失業保険があるので、全くの無収入になるわけではなく、消費の減少を抑えることができます。好況なら逆の現象がおこり、景気の過熱を冷ますことができます。ビルト・イン・スタビライザーはフィスカル・ポリシーと違って、すでに組み込まれているのです(ただし、累進課税率は1974年高額所得者は所得の75%を税で持っていかれましたが、現在は45%程度になっていてかつてより高額所得者に有利になっているなど「自然にビルト・インされている」とは言えませんが)。

 余談ですが、古代の日本で租庸調を徴収し、都や東大寺大仏を造営したことは公共事業、つまり財政政策だったでしょう。不輸、不入の権は今でいえばタックスヘイブンになるでしょうか。イギリスが茶条例を課そうとしたことはアメリカ独立戦争の原因になっていました。またマグナカルタや権利請願、権利章典などで「勝手に税を課すなよ」と記されています。財政は歴史や政治を左右してきた出来事です。

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 今回の単元は、資本主義(市場経済)の限界、市場の失敗を理解します。
 市場経済は、資源の効率的配分を実現します。「見えざる手」(アダム・スミス)と表現されたように誰かがコントロールしているわけではなく、しかしすべての人々が参加した(興味が全くない商品でも興味がないという形で参加しています)うえでの配分ですので、投票に行かなくても全員が参加しているという、何とも言えない力を持っています。「世の中に必要とされているものは残り、不要と見なされたものは淘汰される」というわけです。
 しかし、万能ではなく、限界があります。これを「市場の失敗 market failure」と呼びます。教科書には「市場の失敗」が4~5種類載っていると思いますが、過去問を見ればわかりますが、すべて覚えましょう。また失敗と表現していますが、「外部経済」のようにプラスの影響がある場合もあります。
 「市場の失敗」の例として、公園は民間企業がつくろうと思えば、元を取るために入場料を取らなくてはなりません。これを「市場の失敗」の一つ、「公共財の供給」と言います。有料のテーマパークは確かに魅力的でしょうし、民間企業が行うことは洗練されてもいるでしょうが、有料の公園ばかりでいいでしょうか。このように「市場の失敗」の弊害をくい止めるために独禁法を定めたり、公共財を供給したりするわけです。「市場の失敗」を理解することは、これからの社会を構想する上でも役立ちます。


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