今回の単元は、ソクラテスとプラトンです。
 プラトンがソクラテスについて記述した著書、『パイドン』や『クリトン』、『ソクラテスの弁明』などを読むと、ソクラテスと問答した人は、彼が納得いくまで質問してくるので、さぞ疲れただろうし、人によっては腹を立てただろうと思います。その恨みはソクラテスへの死刑につながっていきますし、ソクラテスにとってはそれほど「本当のこと」の方が大切だったのです。

 ソクラテスの言っていることは難しくはありません。むしろポイントはプラトンのイデア、そして魂の三部説(四元徳)とそれを国家に応用した理想国家です。
 これらは現代の私たちの考え方と違うので、最初は取っつきにくいかもしれませんが、後にキリスト教がこれらの考え方を参考にしていきますし、私たちも「施政者たる者は、模範や頭脳であってほしい」とか「それぞれが役割を果たすことが組織として優れている」と考えたりすることがあるので、全く無縁とはいえません。
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