(2)過去・現在・未来のつながり


 面接対策に参考になるページがネット上にいくつかあります。次のものもその1つです。
 次の志望動機は、各人が初期に考えがちな誤りがあります。着色され番号が打たれているところに課題があります。どうしてよくないのでしょうか、指摘してみて下さい。

スライド14スタサプ問い

 現状であなたが表現しようとしている志望動機はこれに近いのではないかもしれません。
どうダメなのか、解説は次のように指摘しています。

スライド15スタサプ答え

 ここでも解説も前回指摘したように「過去・現在・未来の一貫性」や、具体例も求めています。このHPは面接や志願理由書のポイントがわかりやすく整理されています。大学側が知りたいのは、あなたの肩書きではなく、その経験を通じて学んだことです。ネタバレしてしまったら悪いのであまり多くは触れませんが、「よい例」も掲載されているので、参考にして下さい。

 次の例は、私が中学に勤めていた時の志願理由書や面接練習の例です。中学3年生が高校の前期選抜を目指して、志望動機を固めた時の表現です。一人一人と面接練習する時間が限られていたので『生活記録』に書いて練習していました。中学生が書いているので、幼い感じがするかもしれませんがちょっとつきあってください。


「ハイ、文章で表現をするような仕事に就きたいです。なぜなら、私は中学2年生までは小説家になりたかったのですが、職業調べをしていたら、小説家になれる確率は1%未満、才能がある人は中学や高校在学中から作品が入選していることを学びました。ですから正直言って私には才能がないものと、少し寂しい気持ちがしています。しかし中学で図書新聞を発行しても自分の言葉を人に伝える喜びはどうしても捨てることができません。高校でも国語表現を選択したり、一般常識を磨き、どんな職業があるかわかりませんが、文章を書く職業には何があるかを調べていきたいと思います。」


「ハイ、私は通訳になりたいと考えています。なぜなら、まず英語が得意ということがあり、実際に英検準二級を取得することができたこと、そして英語は国際的にコミュニケーションが取りやすい点もあげられます。私は文化祭でユニセフ支援の募金活動をしました。最初はあまり興味がなかったのですが、展示の準備をしながら世界の子ども達の現状を知れば知るほど、募金だけではなく、国際的な取り組みが必要だと考えるようになりました。ですから問題が解決するために語学だけでなく、どんな協力が必要なのか、大学で学びたいと考えています。ですから大学進学が盛んな御校で学びたいと考えました。」


「ハイ、私はカウンセリングにたずさわる仕事に就きたいと考えています。なぜなら、友人が人間関係で悩んでいる時、相談相手になりました。私だったらどうしようと考えましたが、うまくアドバイスすることができませんでした。でもしばらくたってその友人から、『あの時は聞いてくれてすごく助かった』と言われ、誰かの支えになることができる嬉しさを感じました。しかし、調べてみるとカウンセラーは実際になるのは難しいのを知りました。精神的に誰かの支えになる仕事には、保健室の先生や精神科医もあるかと思いますが、どのような仕事があり、どんな方面へ進む必要があるのか高校へ入学して選んでいきたいと思います。」


 練習していたのは、初めて長野県で前期選抜が行われた2004年なので、だいぶ前のことです。またところどころ回りくどいというか、もっと整理できる箇所もあります。しかし古くても変わらない大事なことを、中学3年生としてはよく考え、表現することができました。もちろん最初からこういう表現だったわけではなく、仕上げの段階ですがが、中学生でもこのくらいは表現できます。
 皆さんは大学へ進もうとしているので、もう少し細部を仕上げる必要があります。最初の例でいえば文章に携わる仕事をもう少し絞って候補を挙げたいです。二番目の例では「解決したい国際問題」に対する、解決のための入学後のプランを挙げたいところです。とりわけ英語が得意な生徒さんに多いのですが、「留学」と言いさえすれば合格すると思っている場合がよく見られます。最後の例では「どのような仕事があり、どんな方面へ進む必要があるのか高校へ入学して選んでいきたい」とは、もう言えません。保健室の先生なら教育学部か看護学部へ、精神科医なら医学部医学科へ進む必要がありますから。
 まとめます。先ほどの中学生の例は、全員が普通高校への進学を目指していたので「なぜその学部や学科なのか」「なぜその学校なのか」を十分には表現できていませんでした。それを差し引いた上で、方向というか「かつてこんなふうに考えてきたことを、もう少し具体的に練り込んでいけばいい」ということがわかります。
 中学生に負けるわけにはいきません。これから練り上げていきますが、自分を掘り下げることができさえすれば、中学生までのあなたを超えていくことができます。