今回は、主にフランクフルト学派とロールズです。
 このうち、フランクフルト学派のホルクハイマー(とアドルノ)、ハーバーマスは、ナチズムを経験して理性に対する批判を展開します。これまでは理性そのものに批判が向いたことは、ニーチェを除いてはなかったと思いますが、ホルクハイマー(とアドルノ)は、理性そのものがナチズムを生んだと考えます。ハーバーマスもそれを引き継いでいますが、対話的理性には信頼を置きます。「理性をどうとらえたか」に違いがあるのです。
 ロールズは現代における正義を考えます。『正義論』の発行は1971年、相対的にアメリカの地位が低下する中で、社会主義でなく格差の是正を図り、また功利主義でなく少数者を救おうとする理論を生みました。無知のヴェール、原初状態もキーワードですが、正義の原理、とりわけ機会均等と格差の原理を理解する必要があります。社会主義でなく、資本主義下でも正義の原理を使えば、格差は是正できると考えたのです。
 ロールズに対しては、自由至上主義(リバタリアニズム)やサンデルら共同体主義からの批判はありますが、現代社会においても影響力のある議論を展開します。
23ハーバーマス、ロールズ

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