今回は公害や環境問題を理解していきます。
 高度成長期の4大公害病は原因物質と共に覚える必要がありますが、公害は足尾鉱毒事件など明治時代にも存在しました。ただやはり公害対策が進むのは4大公害病が顕在化した後、1970年のいわゆる「公害国会」以降のことです。公害対策基本法が改正され、環境庁もできます。第1次石油危機と同じ年の1973年には公害健康被害補償法が制定され、PPP(汚染原因者負担原則)が定められ、過失、わざとではなくても被害が出れば汚染者が除去や回復、補償をする内容となります。
 同じ時期、1970年代の前半から、世界では「環境問題」が存在することが認識されていきます。詳しくは別の単元に譲りますが、冷戦終結後の1992年の「地球サミット」を経て、日本では1993年に公害対策基本法に代えて、環境基本法が制定されていきます。
 教科書や資料集に、環境基本法や各種のリサイクル法が図と共に載っているでしょう。「全部覚えないとダメですか」と質問されることがありますが、そのうちリサイクル費用を消費者が負担する家電リサイクル法と自動車リサイクル法と、レジ袋有料化で改正された容器包装リサイクル法を特に押さえておきましょう。

 少し脇道にズレますが、マイクロプラスチックによる海洋汚染が2020年頃だいぶ報道されました。それによってレジ袋有料化は進展しましたが、レジ袋はプラごみのうちの何%を占めるでしょうか。またプラごみのリサイクル率は日本は86%と高いように見えますが、そのうち半分以上はサーマルリサイクルと言って、プラごみを燃やして温水プールにするようなリサイクルの仕方をしていて、何回も使うとか再資源化されてあらためてプラスチックになるというのではないのです。SDGsにも関わりますが、イメージ先行ではなく、実態としてどうなっているのかをいずれ学んでいきたいですね。
 脇道ついでに、NHKのHPにチリのアタカマ砂漠で先進国からの売れ残った衣服が捨てられている記事が掲載されています。一方でアパレルやファッション関係のメディアでは、今日も消費が喚起されていて、けっこう服屋さんは賑わっています。一体どうしていったらいいのでしょう、考え込んでしまいました。

アタカマ砂漠 捨てられる衣服 NHKweb

(NHK NEWSWEBのHP(着られなくなった衣服の“末路”とは… | NHK | WEB特集 | 環境)参照2022.7.22)

 入試対策に戻りましょう。1992年の地球サミット以降の国際的な取りきめ(京都議定書やパリ協定)も出題頻度が高いです。スウェーデンのグレタさんによれば、これらの国際的な取り組みは生ぬるい、そんな批判的な視点で、どこがどのように生ぬるいかを見つけようとした方が、理解が進むかもしれません。


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