今回は仏教が伝来する前の、古代の日本を理解します。
 この時期の考え方は『古事記』や『日本書紀』などが根拠にされています。そこには何人かの神々が登場しますが、まず知っておく必要がある神はイザナギ、イザナミ、アマテラス、スサノヲ、物語としては「国生み」と「黄泉国」、「スサノヲの高天原訪問」あたりは必要です。
 これらの物語はイザナギとイザナミが天上から鉾を降ろしてかき混ぜて日本列島をつくったとか、現代から見ると非科学的であり得ない話ですし、『古事記』や『日本書紀』の作成動機から推測されるように、権力者の正当性を正史として残す、his storyという側面が強いので、これらを理解する目的が最初は見出しにくいかもしれません。
 ところが一方で、イザナギとイザナミの最初の子どもには障害があったとか、亡くなったイザナミに会いたくなったイザナギが黄泉国を訪れると、イザナミは皮膚がただれてウジがわいていたとか、ところどころリアルで、三大宗教の神と異なり完全無欠ではなく、ある意味で人間味があります(イザナギやイザナミは日本列島をつくりましたが、この2人もまた神々から生まれていて、すべてを生んだ最初の神を想定していないことも特徴的です)。
 また水によって穢れ(けがれ)を祓う(はらう)ことや、どういう行為が嫌われたかなど現代にも残っている面があります。
 江戸時代の国学のところでも触れられると思いますが、大陸から仏教や儒教が入る前を探ることは、元々の「日本らしさとは何か」を考える時のヒントがあると捉えられることがあるのです。少し俯瞰すると、そもそも「日本らしさとは何か」を考える動機や目的には気をつけなくてはならない面が含まれるとしても、自分の中に古代を見出すことは、次の自分をつくるためにも意味があると言えるでしょう。
 問題文は、神々の物語や、神々の位置づけ(例えば造物主ではないこと)について出題されます。微妙なニュアンスの違いで正誤が分かれて最初はスラスラ解けないかもしれませんが、問題を解きながら古代の神々の像をハッキリさせていきましょう。
 
倫CS40表
倫CS40裏