今回は、マルクス以降の社会主義を見ます。
 19世紀初頭の初期社会主義を経て、マルクスが自称「科学的」に資本主義社会の矛盾を指摘します。
 マルクスは資本主義のしくみやその下での人間の疎外を明確に説明しました。出題は生産や労働、労働者の疎外をどうとらえたのかを問う場合が多いといえます。たとえばヘーゲルは「世界を動かすのは絶対精神」と納得しづらいようなことを述べましたが、マルクスはヘーゲルから世界や歴史が運動や変化がある点についてはヘーゲルを受け継ぎながら、世界を動かすのは「生産関係や生産力などの下部構造」だととらえます。
 またそれまでのA・スミス流の自由競争は「見えざる手」によって調和するはずの経済でしたが、個々人の努力差以上に格差が開くことや、恐慌については説明することができませんでした。しかしマルクスはそれらを現在でも説得力のある説明をしました。余談ですが、現在でも大学に行けばマルクス経済学は生きていますので、経済学部に進めばマルクスも学ぶことになります。
 ところが社会主義には課題があります。少し横道にズレますが、旧ソ連や中国、そして国内でも社会主義・共産主義的な考え方を持っている人は、往々にして不寛容というか上意下達というか、自分たちこそが正しく、それ以外の考え方を見下す「正しさの強制」が著しいという特徴があります。そういう事実が目立つだけなのか、それともマルクス自身の考え方からの必然なのかは私には手に負えませんが、歴史や現在起きていることからはそのような特徴が示されるのです。
 19世紀後半からの修正マルクス主義、社会民主主義のウェッブ夫妻、バーナード・ショウ、ベルンシュタインも出題されます。これらは社会主義が陥ってしまった課題や特徴を克服しようという試みです。初期社会主義者から結構な人数を区別する必要がありますね。区別できるでしょうか、それぞれのキーワードが出てくるか念のために人を挙げてみましょう。オーウェン、サン=シモン、フーリエ、マルクス、エンゲルス、レーニン、バーナード=ショウ、ウェッブ夫妻、ベルンシュタイン。

倫CS29表
倫CS29裏