(1)問われているのは3種類?

 面接で質問される内容はたくさんあるように見えます。出願しようとする大学の過去問を調べてもらえれば、さまざまなことが問われています。しかし、メインの質問は3種類しかありません。
 口頭試問は別です。3種類には含めません。口頭試問とは形の上では面接のように見えても、問われている中身は知識です。これも大学による受験生の口からでまかせ対策の一つで、面接対策ばかりしていて、普段の学習がおろそかになっていないか、知識の定着度を見ています。
 口頭試問対策はふだんの授業です。こんなことが問われています。
スライド1

 
 本題に戻ります。
 面接で問われる3つのメインの質問とは、次の3つです。

スライド18面接の基本

 「将来○○をしていきたいので、お宅の大学を選びました」と結びつくのであれば、BとCは同じことなので、2種類しかないことになります。資格や職業に直結する学科の志願者はこのパターンにしやすいでしょう。
 もっと極端にいえば、「将来○○をしていきたいので、これまでの高校生活でこんな努力をしてきました。その上で××という特徴を持つお宅の大学を選びました」であればA、B、Cは1つです。

 面接はいろんな問いがありそうだが、実は大きく3種類かその組み合わせであることを知っておきましょう。そしてその3種類に結びつけてさえいければ、準備する答えは多くないし、暗記できたかあわてることもありません。


 具体的にみます。「今まで最も力を入れてきたことは何ですか」という質問は、過去系です。
 「1分以内に自己PRしてください。用意、はじめ」はどうでしょうか。入学後の設計図や未来の夢をPRすることもできますが、基本はこれまでやってきたこと、過去系になります。
 ビックリするような質問であっても3種類に対する準備、過去系、志願理由系、未来系を準備しておけば、クリアできるのです。

 まずは受ける質問が、過去系なのか、志願理由系なのか、未来系なのか、見極めることからはじめましょう。では次の問いは、三種類のうちのどれにあたるでしょうか?解答はこのあと。

スライド19例題

 答えは、

(1)基本は未来系。

しかし繰り返しになるが、資格につながる学部・学科なら志願理由系とも結びつき、それに向けて今までやってきた実績があるなら過去系も結びつく。

(2)過去系。

大学入学後の研究や学びの予定、設計も加えるなら、志願理由系、未来系にも結びつく。

(3)過去系。大学入学後の研究や学びの予定、設計も加えるなら、志願理由系、未来系にも結びつく。

(4)志願理由系。

将来の仕事や資格とつながる未来系、実績があれば過去系にも結びつく。

(5)志願理由系。

将来の仕事や資格とつながる未来系、実績があれば過去系にも結びつく。「学びの設計書」の面接版。

(6)過去系。

そこで学んだことが将来の職業や学びたい学問に関係するなら、未来系、志願理由系にも結びつく。

(7)過去系。

得意教科と学びたい学科が関係するなら、未来系、志願理由系にも結びつく。


 こうしてみてくると、基本の3種類ですが、互いに結びつきが多いのにも気付きます。3つに分類しましたが結びついているという意味では、1つなのかもしれません。理由は、私たち一人一人が、過去の積み重ねの上にいま存在していて、将来の職業や大学生活という未来を想像しながら、いま大学への入学を希望、志望しながら生きているから、当然とも言えるのです。この結びつきを整理することができれば、あなたの面接対策の太い幹、アウトラインができあがります。

  3種類を少し詳しく見ます。
 過去系の問われ方のバリエーションを並べてみましょう。以下に13の問いを並べてみましたが、問われているのはすべて①の「高校時代に最も力を入れたことは何ですか」と同じ問いだと考えて下さい。
 就活の時にも聞かれ、就活生が苦しむと言われる問いが「学生時代に最も力を入れたことは何ですか」、通称ガクチカです。取り急ぎ過去に問われた13を並べてみましたが、それぞれ13の答えを準備する必要はないのです。極端に言えば一つ準備して、どんなふうに聞かれてもその準備した一つ、ガクチカへ結びつけて答えていけばいい。①~⑬まで、自分なりの答えを考えてみましょう。
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 ⑧のように探究活動、と限定される質問があるかもしれません。あなたのガクチカが探究活動ではなかった場合、探究は何となく消極的にやっていた場合でも、例えばこんなふうに結びつけていきましょう。

「ハイ、探究では音楽が人間に与える効果について探究しました。それは~という方法によって~という仮説を見出すことができました。ただ、そもそもなぜ私がそのテーマへ興味を持ったのかというとそれは部活動においてもそうでしたが、誰かにとって役に立ちたいと考えたからでした。部活動では~」

と自分が述べたいことに結びつけていけばいいのです。
 厳密には、どんなものでも準備した一つに結びつけていけばいいかというと、そうではないものも存在するでしょう。ただ無数に想定できるすべての問いに、別々の答えを準備する必要はなく、過去を生き、これからを生きようとするあなたという幹、軸に沿って答えを考えてけばいいのです。
 ちなみに、探究活動については問われる可能性が高いです。大人の話ですが、探究という授業を高校へ導入するために総合型選抜が大学へ課せられいる経緯があります。探究の授業で取り組んだテーマが自分の学部や学科の選択や志望動機と関係していれば理想的ですが、そうでない場合でも、先の例のように結びつけましょう。授業でやった探究のレポートは印刷して、内容を確認しておく必要があります。

 次は、2種類目の志願理由系です。下に12の例をあげましたが、先ほどとおなじように12コの解答を準備する必要はありません。あなたの志願理由に結びつけていけばいいのです。

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 ⑨以降は相手が変化球を投げてきましたが、受験生が何色を答えたか、何人と答えたかかで合否が決まるのではありません。詳しくは別のページで仕上げていきますが、大ざっぱにみます。例えば⑩なら、
 「ハイ、緑だと思います。なぜなら、私は将来途上国の農業生産に携わりたいと考えていますが、そのために御校で~」
 「ハイ、青だと思います。なぜなら、青にはさわやかなイメージがありますが、私は貴学で病気に悩む患者さんに青のように落ち着いて信頼できる医療技術を~」
というように結びつけていくのです。内容は志望理由です。
 ①④⑤は過去系の方が答えやすい場合はあります。それはあなたがアピールしたいポイントが過去や実績にある場合です。それなら過去系、ガクチカで答えていきましょう。

 最後は3種類目の未来系です。これも詳しくは別のページで仕上げていきますが、問われているのは将来へ向けての計画や設計。そしてその具体性です。
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 ⑥以降は、具体的に聞かれているが⑤と同じように、将来どんな○○になりたいのかが明確になっていれば、それに結びつけて答えていけばいいのです。憧れたり、なりたいと決意している将来の仕事、理想像が明確になっていないと答えに窮してしまいます。将来の仕事が決まっていない場合については、別のところでも考えていますが、今の時点で構いません、未来の自分の計画を示せれば優位になります。
 繰り返しになますが、基本3種類の問いは互いに結びついています。私たち一人一人は、過去の積み重ねの中で将来何かになりたいと思い、そのためにこんなふうに学びたい、大学生活を過ごしたいと志望していますから。世界でたった一人のあなた。自分の過去、現在、未来の結びつきを整理することができれば、太い幹、アウトラインはできあがっています。
 自分ならどう答えるかを考えながら、みてきました。ハンデを抱える人でも光が見えてきました。