高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

タグ:道具的理性

 ナチスドイツを経験して、理性に対する反省が生まれます。アーレント、ホルクハイマーとアドルノ(この2人はなかなか区別できない)、フロム、ハーバーマスらを著作と共に区別しましょう。
 アーレントの労働、仕事、活動の3つは区別が必要です。単純な普通名詞ですので流してしまいがちですが、ナチズムを生んだ現代は労働は広がっていても、活動が失われていると考えます。少し深入りしますが、活動とは他者との対話によって自分を公の場にさらして、自分が変わる機会のことです。自分の中のもう一人の自分と対話する機会と言いかえてもいいでしょう。ちょうどソクラテスが対話によって真実を見つけようとしたことやハーバーマスの「対話的理性」に似ています。そういう機会が失われていること、そのような社会を「全体主義の起源」と位置づけています。自分を肯定してくれる世界に自閉していきがちな現代社会にあって、彼女の述べた「活動」はますます意味を持ってきています。
 また、気をつけてほしいのは、同じキーワードを複数の人物が使っている例です。「権威主義的パーソナリティ」という言葉はアドルノの著作名でもあり、フロムのキーワードです。また「道具的理性」という言葉もホルクハイマーやアドルノの他に、のちに見るハーバーマスも使います。早とちりして判断しないようにしましょう。
倫CS32表
倫CS32裏



 今回の単元は構造主義やフランクフルト学派を学びます。
 構造主義とは、人間の思考や行動が、理性によって引き起こされるのではなく、理性や意識を超えた構造にあると考える立場です。ソシュールは言語の構造に、レヴィ・ストロースは「野生の思考」構造に、フーコーは西洋の知の構造を排除の構造として批判しています。
 フランクフルト学派とは、ナチスによって迫害を受けたユダヤ系の人々がドイツのフランクフルト社会研究所に集まったのでそう呼ばれます。アドルノ、ホルクハイマー、フロム、ハーバーマスらがフランクフルト学派に含まれ、共通点としてナチスが引き起こした出来事の原因は単なる感情ではなく、理性が中心に使われていたことから、理性に対する問い直し(批判理論)が含んでいます。
 この構造主義やフランクフルト学派あたりから、現代思想と呼ばれます。それはデカルト、カント、ヘーゲルあたりが確立してきた理性を揺るがすために、そう呼ばれます。
26フランクフルト学派
26フランクフルト学派Ad
26フランクフルト学派Cha
26フランクフルト学派Cha2

 今回は、主にフランクフルト学派とロールズです。
 このうち、フランクフルト学派のホルクハイマー(とアドルノ)、ハーバーマスは、ナチズムを経験して理性に対する批判を展開します。これまでは理性そのものに批判が向いたことは、ニーチェを除いてはなかったと思いますが、ホルクハイマー(とアドルノ)は、理性そのものがナチズムを生んだと考えます。ハーバーマスもそれを引き継いでいますが、対話的理性には信頼を置きます。「理性をどうとらえたか」に違いがあるのです。
 ロールズは現代における正義を考えます。『正義論』の発行は1971年、相対的にアメリカの地位が低下する中で、社会主義でなく格差の是正を図り、また功利主義でなく少数者を救おうとする理論を生みました。無知のヴェール、原初状態もキーワードですが、正義の原理、とりわけ機会均等と格差の原理を理解する必要があります。社会主義でなく、資本主義下でも正義の原理を使えば、格差は是正できると考えたのです。
 ロールズに対しては、自由至上主義(リバタリアニズム)やサンデルら共同体主義からの批判はありますが、現代社会においても影響力のある議論を展開します。
23ハーバーマス、ロールズ

23ハーバーマス、ロールズAd

23ハーバーマス、ロールズCha



このページのトップヘ