今回の単元では、核を規制する国際的な取りきめと、米ソ二国間の取りきめを区別して理解します。
 
 核を規制する国際的な取り決めは、まず3つの条約を知ることから始めましょう。
  (1)部分的核実験禁止条約(PTBT)
  (2)核拡散防止条約(NPT)
  (3)包括的核実験禁止条約(CTBT)
 
 (1)のPTBTは、日本のマグロ漁船が核実験で被爆した第五福竜丸事件を受けて、地下以外の核実験を禁じる内容です。核戦争の危険が迫った1962年のキューバ危機の翌年と考えれば時期の理解がスムーズです。
 (2)のNPTは、核保有が許された5カ国以外が核兵器を保有することを禁じる内容です。5カ国以外へ核兵器が拡がっていくを防いでいて、疑いがあればIAEA(国際原子力機関)が査察を行います。一方で保有が許された5カ国(偶然にも国連安保理の常任理事国の5カ国です)が核兵器を減らすことを防ぐことができませんので、不平等の面があります。そもそも国際法は一般に、批准していない国、加盟していない国を拘束することができませんでしたが、NPTも同様で未加盟のインドやパキスタン、イスラエルそして脱退した北朝鮮などを拘束することができない問題があります。
 (3)のCTBTは、地下を含む爆発をともなう核実験を禁じる内容です。ただ、この条約が発効するためには原子炉がある44カ国すべての国の批准が条件になっていて、アメリカや中国が批准していませんので、発効することができていません。

 わかりづらいのが米ソ二国間の取りきめで、SALT、STARTなどがSALTⅠ、SALTⅡ、STARTⅠ、STARTⅡ、新STARTなど複数あり、また批准拒否や未発効のものがあり区別が難しい点です。これらも「理解してから問題」より「問題を解いて理解」の方が早道です。 

「核兵器に関して、今後の国際社会はどのような取り組みが求められるだろうか、従来の取り組みを考慮しながらあなたの意見を述べなさい。」
「東アジア情勢の変化にともなって、自衛のための必要最小限の実力として、日本も核兵器を保有すべきだという主張がある。この主張に対してあなたの意見を述べなさい」

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