高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

タグ:量的緩和

 この単元では、日本の金融の歴史を理解します。
 金融機関は1980年代以降、国際的な競争にさらされるようになりました。一方で家計や企業にとっては金融機関は欠かせない存在です。CMにも外資系やもともとは他業種をしていた金融機関が登場するようになってきましたが、金融機関は競争の中での安定、という難しい舵取りをしています。なぜ、どのような歩みや変化してきたのかを把握しましょう。
 大ざっぱな歩みは、
 ・1970年代までの護送船団方式
 ・1980年代のバブル経済
 ・1990年代の日本版金融ビッグバン
 ・2000年代の金融危機
 となります。そしてこの中に登場するカタカナの意味が理解できるかがポイントとなります。カタカナの例はBIS規制、ペイオフ、インフレターゲット、ゼロ金利政策、サブプライムローン、リーマンショックなどです。
 のちの単元、日本の経済史が終わったら、もう一度見直すのがおすすめです。
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 インフレやデフレは貨幣価値の上下でしたので、国民生活を左右します。よって中央銀行である日銀は対策をとります。対策の取り方は世の中に出回る通貨量、これをマネーストックといいますが、マネーストックを調整することでインフレやデフレをやわらげたり、解消しようとします。
 この調整を金融政策といい、今回の単元のポイントは、金融政策の種類と内容を理解すること。それと信用創造の計算問題を解けるようになることです。
 日銀による金融政策の大ざっぱな原理は、
  ・インフレが進んでいて是正しようとする時は、マネーストックを減らす。
  ・デフレが進んでいて是正しようとする時は、マネーストックを増やす。
 田んぼに水が多いときは水を減らそう、水が少なければ増やそうと、蛇口を閉めたり緩めたりすると考えればいいでしょう。
 日銀は「銀行の銀行」として民間の銀行(金融機関)に対して、これらの操作を通じて、マネーストックを調整します。不況の時、世の中に出回る通貨量を増やしたければ、企業や個人が資金を借りやすいように、民間の銀行の金利が下がるようにする。
 金利はまだ皆さんは身近ではないでしょうが、進学して初年度納入金をのためとか住宅ローンのため、開業するためとか工場の設備を増やすために資金を例えば100万円借りるというような時、金利が年5%なら105万円返済することになりますが、1%の金利なら101万円の返済ですみます。金利を下げれば経済活動は活発になるのです。
 逆に好況で景気はいいけれどもインフレが進みすぎていると日銀が判断すれば、資金を借りにくいように金利が上がるようにします。
 金融政策の3本柱は、
  ①公開市場操作、
  ②公定歩合操作、
  ③支払準備率操作、
 です。
 ただし、この3本柱の2つ、公定歩合や支払準備率(預金準備率)は金融ビッグバンで民間の金融機関が金利を自由に設定するようになったので、現在は使われていません。使われてはいませんが、金融政策の原理というか「日銀から市中銀行への貸し出しの金利が下がれば、市中銀行が一般の人に貸し出す時の金利も下げる」という基礎を理解するのに便利ですので、ここから理解し始めましょう。

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