高校 政経・倫政の補習講座

大学入試に向けた知識、学んだことと生活を結びつける知恵を提供します。

タグ:金本位制

 今回の単元は、戦後の国際経済の変遷を理解します。
 ポイントは、IMF、IBRD、GATTの役割の違いです。
 1929年からの世界恐慌時、各国はブロック経済を組みました。とするとたくさん植民地を持っている国は原料の輸入先と製品の販売先が確保できるので有利です。植民地をたくさんは持っていない国は植民地の再編成を求めて大戦につながっていきました。経済が戦争の原因だったのです。その反省を受けて、IMFとIBRDは為替を安定化させるため、GATTは貿易を自由化する(関税を下げる)ために設立されました。
 GATTの多国間交渉、ラウンドの内容も出題されます。ラウンドは全部で8回行われましたが、さすがに全部は覚えなくてもいい。ケネディラウンド、東京ラウンド、ウルグアイラウンドの3つは内容を把握することが必要です。
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 今回の単元はインフレとデフレを理解します。
 インフレとは貨幣価値が下がること、デフレとは貨幣価値が上がることです。
 貨幣価値という言葉も堅苦しいですが、例えば100円でコンビニのコーヒーが買える時と、120円でないとコーヒーが買えない時では、100円玉の貨幣価値が高いのは、100円でコーヒーが買える時です。
 というと貨幣価値が上がるデフレの方がいい気がしますが、デフレは一般に不況の時に起こります。景気がよい好況の時は経済活動が活発になり、どんどん商品が売れて、つくれて、買えるので、貨幣価値が下がります。家計でも好況の時は、プチ贅沢というか少し価格が高くても、所得が上がっているので、我慢せずに買い物をします。こうしてインフレ、貨幣価値は下がっていくのです。経済活動が活発と考えれば、インフレが悪いとは必ずしも言えません。一般に好況の時にはインフレが起こり、不況の時にはデフレになります(例外が不況下の物価高、スタグフレーションです。最悪の組み合わせですね)。
 受験のポイントは、「なぜインフレになるのか」、「インフレなるとどのような影響があるのか」という原因と影響を、混ぜずに分けて考えることです。

 「なぜインフレになるのか」原因は大きく2つに分類できます。
  (1)ディマンド・プル・インフレという需要が引き起こすインフレ
     (2)コスト・プッシュインフレという供給が引き起こすインフレ
 需要が引き起こすインフレは、家計の消費活動が活発で総需要が総供給を上回った場合に起こります。高度成長期がそうでした。一方、供給が起こすインフレは、原材料費や賃金が上昇したことで起こるインフレです。1973年の第1次石油危機や2022年のロシアによるウクライナ侵攻で発生していて、こちらのコスト・プッシュインフレの方は一般に「悪いインフレ」と言われます。

 「インフレになるとどのような影響があるのか」は、実質賃金や借金の負担、年金など立場によって、いい影響も悪い影響もあります。それらを区別します。繰り返しますが、インフレの原因と影響は区別しましょう。

「仮に金融市場と財市場があり、外国との取り引きがなく、商品は1種類だけが貨幣を使って取り引きされると考えよう。このとき、何がデフレの原因となっているのか、またデフレはどのような弊害をもたらすのであろうか。100字以内で記せ」(早稲田大学)

 また、原因と影響が理解できると、借金をするのはインフレ時が有利か、デフレ時が有利かとか、今は預金した方がいいかな、それとも消費する方がいいかなとか家計にも役立つはずです。

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